気仙沼2日目はかなり気温が下がって、一気に冬に突入した感じでした。前日の夜もかなり冷え込み、これだけ寒暖の差があると高齢者には答えるだろうなと思うほど、気温が下がりました。
午前中は気仙沼駅近く(といってもそこそこ距離があります)に出来た、表松川災害公営住宅にお邪魔しました。例によって村上さんにくっついてゆく形です。ここの公営住宅は全部で6棟あるのですが、密集しておらず間に民家を挟んで建っています。おまけに自治会が出来上がっておらず、住民同士が交流する機会があまりないという状況のようです。
それでもこの日は7名ほどの方が集まっており、お茶っこ(みんなで集まってお茶を飲みながらおしゃべりする)が開催されていました。その輪に僕らも入れていただき、お茶をご馳走になりながら整体をさせていただきました。さすがに集会場には布団等は用意されていないので、座っての整体になりました。お茶っこが不思議なのは、我々のように外部の人間が来てもそれなりに盛り上がって、様々な話題があれこれ出ます。こんなことがあった、あんなことがあったとほんの些細なことでも情報交換の場になり、また自分が溜め込んでいる小さな悩み事や困ったことなどをぽろりとこぼし、そしてそれを聞いてくれる場所があることは孤立しないために重要な要素になっているようです。
午後からは3年前にご縁を頂いて、i愛NLP協会としてメンタルサポートをしてきたSさんのご自宅にお邪魔してきました。今年の3月に仮設住宅から戸建ての災害公営住宅に移られました。以前暮らしていた仮設住宅に比べると非常に広くて住みやすそうな印象を受けました。道を挟んだ反対側は集団移転の土地となっており、お金を用意できた方々が土地を購入し自宅を建てていらっしゃいます。
昨年の春にSさんにお会いしたときには仮設住宅の集会場でした。漁師もしているご主人が捕ってきたタコを頂きながら、震災の時にどのように避難所でリーダーシップを発揮したかを聞かせていただいたのを思い出しました。この日はお仕事に行ってお会いできませんでしたが、ご主人が捕ってきたカニをつかった「カニばっとう」という汁物をご馳走になりました。初めてSさんにお会いしたときにも振舞っていただき、とても美味しかったので、僕らがお邪魔することになってご用意くださいました。「ばっとう」はすいとんをもっと薄く延ばしたようなのもで、山梨県の「ほうほう」のような感じです。えのき、にらとカニ出汁があいまって、美味しく頂きました。
仮設住宅から公営住宅に移った方々にこれまで何人にも会ってきましたが、公営住宅に移ったからといって必ずしも幸せとも限らないというジレンマを今回も感じました。仮設住宅は家賃がかかりませんが、公営住宅は家賃がかかります。また5年経つと軽減処置がなくなり、家賃が倍くらいに上がると言われています。また公営住宅に移ってから孤独化する方も多く、知り合いがいないため一歩も外に出ないでテレビを見て過ごすと言う方も多くいらっしゃいます。行政レベルでの復興と、市民レベルの復興は同列では考えられないので、なかなか答えの見つからない感じです。これは現場で支援を続けている村上さんや小野さんたちは肌身で感じている感覚だと思います。
気仙沼を訪ねるたびに町の様子が変わって行き、前進しているように感じますが、目線を下げてゆくと悲しい現実も見られてしまうのはここ2年間の実感です。まだまだ復興には時間がかかりそうです。また来年もお邪魔して現場の空気を感じてこようと思います。